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先月号では、土壌分析の分析状況をお伝えしましたが、今月号では冬の間並行して行っているジャガイモシストセンチュウの検査についても紹介します。この虫はシストという段階を持つ線虫の一種でばれいしょ害虫です。シストとはメス成虫が変化したもので、この中には数百もの卵が入っています。この卵は低温・乾燥に強く、年に約30%自然減するが、土壌中で10年以上生存します。
このジャガイモシストセンチュウは種芋の生産において特に問題になります。
種芋にジャガイモシストセンチュウが付着していた場合、その種芋を植えた畑でもジャガイモシストセンチュウがまん延してしまいます。そのため、ジャガイモシストセンチュウが一度発生すると字単位で種芋の作付が制限されてしまいます。「あっさぶメークイン」は食用だけでなく、半分が種芋です。種芋の生産をいつまでも続けていけるように徹底した対策が必要です。
検診は土を完全に乾燥させてから、オーブンで48時間加熱した後に、顕微鏡で観察します。雑草の種子など外見の似たものが多数含まれていますが、見落とさないように慎重に確認します。
このように検査はしますがシストは足裏や農具についた土によって、持ち込まれます。入れるのは簡単ですが根絶するのは、ほぼ不可能です。大切な名産品の質を守る為に一人ひとりが気を付けなければいけません。
【農業振興係 堂下 貴宏】
厚沢部町農業活性化センター(厚沢部町鶉町853番地)
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