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令和6年度町政執行方針

ページID:0008230 更新日:2024年3月5日更新 印刷ページ表示

佐藤正秀町長

令和6年度 厚沢部町町政執行方針(全文)

 令和6年第1回厚沢部町議会定例会の開会にあたり、町政執行への所信を申し上げます。

 私は、昨年の統一地方選挙で町民の皆さまの温かいご支援とご厚情により、町政を担当させていただくことになりました。「町民一人ひとりが幸せを実感できる町づくり」をスローガンに、豊かな活力ある町づくりのために全力を尽くして、職責を果たしていく所存であります。

 昨年は、厚沢部町が全国に先駆けて取り組んでおります、保育園留学が全国的に脚光を浴び、マスコミにも多く取り上げられました。全国の自治体からの視察も多く、この取組に対し、日本子育て支援大賞、国土交通省の地域づくり大賞などを受賞しました。今後も、子育て世代を始め町民皆さんが、住んでみたい町「厚沢部町」を実感できるような町づくりに努めてまいります。

 さて、令和6年度の国の一般会計予算案は、112兆717億円で、過去最大だった昨年度の当初予算を下回ったものの、2年連続で110兆円を超えました。増え続ける社会保障費は、高齢化の影響や少子化対策の強化などで過去最大の37兆7千億円にのぼっております。一方、防衛費は5年以内に抜本的強化を目指すとしている中、防衛力強化資金繰入金を計上しなかったことから、全体では22%の減、7兆9千億円としましたが、繰入金を除くと1兆14億円、16.6%の増となっております。予備費はコロナ対策などとして計上していた5兆円が、骨太の方針で「歳出構造を平常時に戻す」とされ、4兆円の減額となりました。高齢化や国債の償還費の増大に伴い、政策的な経費に使える予算の余地がどんどん縮小しており財政の硬直化が懸念されるところであります。

 岸田首相は、通常国会の冒頭で我国が直面する内外の諸課題に政府一丸となって取り組む方針を示しました。1月1日に発生した能登半島地震への対応を始め、自民党の派閥による政治資金問題を巡る政治への信頼回復のため法整備を実施していくことを表明しました。 

 経済再生としては、昨年の高い賃上げ水準を維持しつつ、この流れを続け、6月からの1人4万円の所得税減税の実施等で個人消費を下支えすることとしております。また、地方創生では、地方の成長を後押しするため、2030年の訪日客6千万人、消費額15兆円を目指すとしています。いずれにしろ、政治の安定なくしては政策を推し進めることはできません。国民が信頼し、真の豊かさを実感できる政治の安定が期待されるところです。

 世界情勢をみますとロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルとハマスによる戦闘も終わりが見えない状況にあります。長期間に亘る戦闘により、子供を含む尊い命が奪われるという悲惨な状況が続いています。これらの戦闘が一日も早く終結し、平和な日常が訪れることを切に願うものであります。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、昨年末に2050年までの地域別将来推計人口を発表しました。全道の全ての市町村で人口が減少し67市町村では、半分以下になるとの結果となりました。厚沢部町においても1,664人という試算であり、近年の出生数の著しい低下もあって、さらなる人口減少が自治体としての機能を保っていけるのか懸念されるところであります。国では「東京一極集中の是正」を掲げて、東京圏の転出入を均衡させることを目指してきましたが、実際には転入超過が続き地方の衰退に歯止めがかかっていない状況で、コロナ禍の後にあって、さらに一極集中が進むことが想定されます。

 また、地方財政計画においては、本町歳入の半分を占める地方交付税が出口ベースで前年対比1.7%の増となっておりますが、本町においては、水道設備等のライフラインの更新や大型事業実施に伴う起債の償還、施設管理費等の経常経費の増加により、町の財政も大変厳しくなることが予測されます。今後とも行財政運営については、国・北海道の動向を注視しながら、積極的に支援策等を十分活用して、効率的で公平な行政サービスを提供し、財政の円滑な運営を進めてまいります。

 多くの先人達が、厳しい風雪に耐えながら、不断の努力で築いてこられた「ふるさと厚沢部町」を、次の時代に健全なかたちで引き継いでいくために、職員とともに知恵を絞り汗を流してまいります。


1.少子高齢化・人口減少対策への対応について

(1)少子化対策の推進について

 人口減少社会の到来は、社会経済活動に大きな影響を及ぼすことから、子育て世帯に対する支援の充実を図ってまいります。令和5年度から実施しております、認定こども園の完全無償化、小・中学校給食費の無償化、江差高校生への通学定期代金の助成は、継続して実施します。また、令和6年度から奨学資金制度を大幅に拡充し、貸付け要件の緩和や金額の増額、さらには給付型奨学資金も開始します。

 全国的にも有名になった保育園留学については、さらなる受け入れ体制拡充のため、保育園留学の寮をこれまでの2棟に加え、新たに2棟を整備する予定です。 

 これまで以上に子育て世代による交流人口の増、そして移住・定住者の増につながる取り組みを進めてまいります。

(2)高齢者・障がい者への対策について

 高齢者・障がい者対策につきましては、現在、本町の総人口に占める65歳以上の高齢化率は40%を超え、増加の一途をたどっております。このような状況の中、ひとり暮らしの老人世帯や老人夫婦世帯が増えております。そのため在宅福祉に重点を置き、各地域での「サロン活動」の実施や、社会福祉協議会の運営を支援するなど、自助、共助、公助のバランスを図りながら、町単独の高齢者生活支援事業を拡充し、安心な暮らしを支えてまいります。また、心身の発達面で個別支援を必要とする子供に支援を行う発達支援センターの充実にも努めます。

(3)交通弱者への対策について

 交通弱者対策につきましては、高齢化や人口減少に伴い、これまでの一般的なバス運行に変わり、身近な移動手段として、通学や通勤により利便性・効率性の高い、持続可能な交通ネットワークを構築します。

(4)定住促進の対策について

 定住促進対策につきましては、持家建設奨励金の拡充、中古住宅の購入やリフォーム代金に対する助成、誕生祝金の増額、さらには道営住宅の早期完成を目指します。

2.力強い農業・林業・商工業を築くための対策について

(1)農業について

 厚沢部町の発展を支えるのは、農業・林産業であり、これまでも積極的に各種施策を展開し、振興に努めてまいりました。昨年のJA新函館厚沢部支店の販売額は、26億1千800万円との報告を受けております。記録的な暑さが続き、高温障害で品質の低下、収穫量の減少に加え病害虫被害もあり厳しい一年となりました。特に小麦や大豆等の生育が低調だったほか、小豆については壊滅的な状況となりました。今年もなお燃料価格や農業資機材価格の高騰が続き、農家経営を圧迫することが予想されることから、令和6年度に、農家の負担軽減対策として農業振興公社の受託作業や苗代の一部を助成します。 さらに労働力の減少、機械化作物への転換が進む中、農業生産が持続的に行えるよう必要なスマート農業機械や経営継続に必要となる機械・設備の導入についても支援をします。

 新規就農者・後継者支援につきましては、担い手協議会等関係機関による相談体制の充実や、国の助成制度を利用し新たな担い手の円滑な就農を支援します。

 近年の地球温暖化等に伴う気象変動で発生する高温や集中豪雨などによるリスクを軽減するためには、基本技術の励行に加え、明・暗渠排水の整備や堆肥投入などの基盤整備が重要であると認識しているところであります。これまでも暗渠排水などの透排水性の改善を進めてまいりましたが、引き続き、道営農地整備事業、農地中間管理機構関連事業及び町単独の小規模土地基盤整備事業の実施により、優良農地の確保に努めてまいります。

 中山間地域等直接支払交付金、多面的機能支払交付金等の補助を継続して実施するとともに、町単独事業として農業共済掛金の助成である、農業生産安定化特別対策事業費補助、地力増進対策事業費補助、農道整備事業費補助などを継続し、農業経営の安定化を図ってまいります。

 クマやエゾシカなどの鳥獣被害対策については、電気牧柵購入費への助成のほか、町が所有する電気牧柵の利用促進を図るほか、高齢化で減少が進むハンターの確保対策として狩猟免許取得・更新に対する支援を行います。また、「自らの農地は自ら守る」という自己防衛意識を高めていくことも必要と考えております。

(2)林業・林産業について

 豊かな自然環境の中にあって、町の約8割の面積を占める森林は、地球温暖化防止対策の推進をはじめ、安全な国土の形成、水源かん養、保健休養などの多面的機能を有しているほか、産業として貴重な資源であります。

 町有林管理については、搬出間伐、除伐、枝打ち、下刈りなどの適切な撫育管理や森林基盤整備等を推進し、森林機能の維持に努めます。

 民有林については、循環利用や集約化を進めた中で「豊かな森づくり推進事業」や除間伐、枝打ち、下刈り事業に支援し、地域林業の振興を図ってまいります。

 また、林産業については、林産協同組合の活動を支援するほか、地域材の積極的なPRに取り組み、地場産材の利活用の促進や、林業者はもとより林産業の安定経営に努めてまいります。

 さらに森林環境譲与税基金事業として、所有山林に係る意向調査を実施、民有林の下刈りや除間伐事業に助成し、森林としての機能を維持できるよう支援を行います。

(3)商工業・観光業について

 商工業については、人口減少やインターネットを利用した商品購入が地元での消費減退を招いており、また、高齢化の進行とともに買物弱者の増大が懸念されているところです。このような実情から、引き続き商工団体の育成と中小企業の経営安定を継続支援するとともに、商工会と連携し、活性化への振興策を検討してまいります。

 観光については、オートキャンプ場「ハチャムの森」のインターネット予約の導入や、「うずら温泉」については、平成7年のオープン以来最大となる改修工事を計画しております。

 また、「アウトキャンパス」や「ちょっと暮らし」事業の継続的な展開で、交流人口・関係人口の拡大を図るほか、素敵な過疎のまち推進事業により、厚沢部町の応援団員獲得拡大に努めてまいります。さらに観光協会の育成支援や各種イベントへの助成を拡充してまいります。

3.くらしの安全・安心なまちへの対応について

(1)健康診断受診率の向上について

 本町では、健康診断やがん検診の受診率が低いことから、がん等を早期に発見し重症化リスクを軽減することを目的に、受診率向上を促すため町が実施する総合健診や各個別検診を令和6年度から、全て完全無償化とします。

(2)災害に強い町づくりについて

 災害に強い町づくりでは、町の災害備蓄計画を見直し猛暑の中での避難所の運営を想定した備品等の購入を計画しています。また、新たな災害通報システムの構築では、今年度導入した公式LINEを活用し、災害情報等の発信を行います。防災行政無線の同報系の整備については、費用と利便性を考慮し、先進自治体の例も参考としながら、導入に向けて調査・研究してまいります。

(3)再生可能エネルギーの導入促進について

 新エネルギーの導入促進につきましては、昨年8月に素敵な過疎づくり株式会社と北海道ガス株式会社との共同出資により、地域新電力会社「ハチャム」を設立したところです。今後も国の脱炭素先行地域への申請をし、国の補助金を活用しながら再生可能エネルギー導入を積極的に進めてまいります。

(4)国保病院について

 国保病院は、命を守り暮らしに安心感を与える地域医療の確保や救急医療の拠点として、町民からの期待も大きく、極めて重要な役割を担っております。しかし、その経営環境は益々厳しい状況にあり、地域連携法人「南檜山メディカルネットワーク」と連携を密にして、地域医療の安定提供体制を図ってまいります。

 過疎地では、医師及び医療技術員の不足が深刻化しておりますが、これからも良質な医療の提供、経営の改善などに一層努め、町民の期待に応えられる町立病院を目指してまいります。

 また、函館市との定住自立圏協定の主目的であったドクターヘリの運航、脳疾患患者の搬送経費も継続して支援し、広域的な緊急医療体制の充実に努めます。

4.健全な行財政運営について 

(1)予算の効率化・重点化による計画的な財政運営について

 予算の効率化・重点化による計画的な財政運営については、本町の財政は、これまでの行財政改革などによって、健全な財政運営を維持しておりますが、町税等の自主財源に乏しく、歳入の過半を占める地方交付税の行方次第では、極めて厳しい状況となります。限りある財源を最大限に生かす創意工夫と柔軟な発想をもって、事務事業を検証し、効率的な施策の展開、質の高い行政サービスを提供するため、職員一人ひとりの能力向上に努めます。

(2)情報公開による透明性の確保について

 情報公開による透明性の確保では、これまでどおり、厚沢部町情報公開条例に基づき、町政の透明性の確保に努めます。

教育行政について

 教育・文化活動の振興を図り、快適で活気ある「心豊かな人を育むまちづくり」を目指すことが、町政執行上での重要な課題であり、私は「まちづくりの究極は、人づくりにある」と思っております。

 少子化が進行する中で、これからの日本を支えていく「たくましい人材」を育成するためには、人間形成の基礎を培う学校教育の果たす役割は極めて大切です。子供たちが、安全でより良い教育環境の中で学び育つために、学校施設や教育振興備品の整備を進めるとともに、学力の向上や健全な心と体を育成する教育施策の充実を図ってまいります。

 社会教育では、少子高齢化や高度情報化、経済のグローバル化など社会生活の変化に伴い、ライフスタイルや価値観が多様化しており、生涯を通じて、教育・文化・スポーツ活動などの様々な機会の提供が求められております。

 このような高度で多様化するニーズに対応していくには、各種の情報提供を通じて、地域の自主的な活動を支援・促進することが重要であることから、町内関係団体とも協議を重ね、連携しながら社会教育環境の整備と施策の充実を図ってまいります。

 教育行政の詳細につきましては、教育長から方針が示されますが、教育委員会とともに学校や社会での教育活動が望ましい環境の中で展開されるよう、計画的かつ積極的に教育文化活動の充実に努めてまいります。


 以上、私の町政執行に対する所信と施策の一端を申し上げました。

 町民の皆様の期待と信頼に応えるべく誠心誠意努力し、課題解決に向けて邁進する所存でありますので、議会並びに町民の皆様には、より一層のご理解とご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。