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令和7年度町政執行方針

ページID:0009355 更新日:2025年3月11日更新 印刷ページ表示

町政執行方針写真

令和7年度 厚沢部町町政執行方針(全文)

 令和7年第1回厚沢部町議会定例会の開会にあたり、町政執行への所信を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、これまで取り組んでまいりました保育園留学事業が「全国過疎地域連盟会長賞」を受賞し、また、エネルギー分野では、環境省の「脱炭素先行地域」に選定されました。当町が進めてまいりました事業が高く評価され、着実に歩を進めることができた1年でありました。
 また、懸案でありました、うずら温泉の客室等の改修のほか、道の駅物産センターの改修計画にも着手することができ、本町の魅力を創出するまちづくりにも取り組んでまいりました。
 町長に就任して3年目の今年は、公約の着実な推進とさらに新たな施策に取り組み、引き続き、町民皆様が、真に幸せを実感できるまちづくりを進めていく所存であります。

 さて、令和7年度の国の一般会計予算案は、現在、修正案が与野党から提出され、衆議院で審議中でありますが、与党案では115兆2千億円程度で、当初予算としては3年連続で110兆円を超え、過去最大となりました。増え続ける社会保障費は、高齢化の影響や少子化 対策の強化などで過去最大の38兆2千億円にのぼっております。さらに、防衛費は防衛力の抜本的強化に伴い、8兆6千億円とこちらも過去最大となりました。また、予備費も修正案では7千500億円程度となり、令和6年度に別枠として1兆円を計上していた物価高騰などに対応するための予備費も廃止となりました。一方、国債の発行額は前年に比べ6兆円ほど減りますが、財源の4分の1を国債に頼る構造は変わらず、国債の償還費の増大等に伴い、政策的な経費に使える予算が縮小しており財政の硬直化が懸念されるところです。

 石破首相は、通常国会の施政方針演説で人口減少下でも持続可能な社会経済システムへの転換が求められるとの認識のもと、「地方創生」を「令和の日本列島改造」と位置付けて進めていく考えを打ち出し、「楽しい日本」を実現するために「地方創生2.0」を強力に 進めることを表明しました。また、少数与党での政権運営については、与野党が熟議し、国民の納得と共感が得られるよう努める姿勢を強調しました。しかしながら、食料品等の物価高騰が続く中、ガソリンや灯油価格の高騰が国民の家計に追い打ちをかけている状況であり、対策が急がれるところであります。いずれにしろ、国民が真の豊かさを実感できる政策の実現が期待されるところです。

 また、地方財政計画においては、本町歳入の半分近くを占める地方交付税が出口ベースで前年対比1.6%の増となっておりますが、本町においては、水道設備等のライフラインの更新や大型事業実施に伴う起債の償還、施設管理費等の経常経費の増加により、町の財政も年々厳しくなることが予測されます。今後とも本町の行財政運営については、国・北海道の動向を注視しながら、積極的に支援策等を十分活用して、効率的で公平な行政サービスを提供し、財政の円滑な運営を進めてまいります。

 多くの先人達が、不断の努力で築いてこられた「ふるさと厚沢部町」は、豊かな農産物、美しい自然、多才な人材など、あらゆる分野で高い潜在能力を有する町であります。次の時代に健全なかたちで引き継いでいくために、私のこれまでの行政経験をもとに、日々英知を傾け、職員と一丸となってともに知恵を絞り汗を流してまいります。


1.少子高齢化・人口減少への対応について

(1)少子化対策の推進について

 人口減少社会の到来は、社会経済活動に大きな影響を及ぼすことから、子育て世帯に対する支援の充実を図ってまいります。
 令和5年度から実施しております、認定こども園の完全無償化、小・中学校給食費の無償化、高校生への通学定期代金の助成は継続し、保護者の経済的な負担軽減を図ります。また、令和6年度から大幅に拡充している奨学資金制度についても継続します。

 保育園留学については、さらなる受け入れ体制拡充のため、保育園留学の寮をこれまでの2棟に加え、新たに建設中の2棟がもうすぐ完成する予定です。これまで保育園留学は、首都圏を中心に国内の利用が中心でしたが、令和6年度はアメリカ、ドイツ、東南アジア等、海外からの利用者も増加しております。

 これまで以上に受入体制の充実を図り、国内外の子育て世代による交流人口の増、そして移住・定住者の増につながる取り組みを進めてまいります。

(2)高齢者・障がい者への対策について

 高齢者・障がい者対策につきましては、現在、本町の総人口に占める65歳以上の高齢化率は40%を超え、増加の一途をたどっております。このような状況の中、ひとり暮らしの高齢者世帯や高齢者夫婦世帯が増えております。そのため在宅福祉に重点を置き、各地域での「サロン活動」の実施や、ボランティア活動、社会福祉協議会の運営を支援するなど、自助、共助、公助のバランスを図りながら、町単独の高齢者生活支援事業を拡充し、安心な暮らしを支えてまいります。また、心身の発達面で個別支援を必要とするこどもに支援を行う発達支援センターの充実にも努めます。

(3)交通弱者への対策について

 交通弱者対策につきましては、高齢化や人口減少に伴い、これまでの一般的なバス運行に変わり、身近な移動手段として、持続可能な交通ネットワークを構築したところですが、通学や通勤のさらなる利便性・効率性の向上を図ってまいります。

(4)定住促進の対策について

 定住促進対策につきましては、持家建設奨励金の 拡充、中古住宅の購入やリフォーム代金に対する助成、誕生祝金の増額を行っておりますが、総合的な周知・広報活動にも力を入れてまいります。加えて、道営住宅の早期着工、早期完成を目指してまいります。

2.力強い農業・林業・商工業を築くための対策について

(1)農業について

 厚沢部町の発展を支えるのは、農業・林産業であり、これまでも積極的に各種施策を展開し、振興に努めてまいりました。昨年のJA新函館厚沢部支店の販売額は、28億4千600万円ほどとの報告を受けております。前年同期比で2億2千万円あまりの増額であります。一部で高温障害による品質の低下、収穫量の減少があったように伺っていますが、米を中心として販売額が伸び、総じて上々の結果となりました。一方で、今年もなお燃料価格や農業資機材価格の高騰が続き、農家経営を圧迫することが懸念されるところであります。このため、労働力の減少が進む中、農業生産が持続的に行えるようスマート農業機械など経営継続に必要となる機械・設備の導入についても引き続き支援をします。

 また、今年はあっさぶメークインの試作から100周年を迎えます。先人たちが守り育ててきた当町農業の根幹であるメークインを最大限PRしながら記念事業等を実施してまいります。

 新規就農者・後継者支援につきましては、担い手協議会等関係機関による相談体制の充実や、国の助成制度を利用し新たな担い手の円滑な就農を支援します。

 近年の地球温暖化等に伴う気象変動で発生する高温や集中豪雨などによるリスクを軽減するためには、基本技術の励行に加え、明・暗渠排水の整備や堆肥投入などの基盤整備が重要であると認識しているところであります。これまでも暗渠排水などの透排水性の改善を進めてまいりましたが、引き続き、道営農地整備事業及び町単独の小規模土地基盤整備事業の実施により、優良農地の維持、確保に努めてまいります。

 中山間地域等直接支払交付金、多面的機能支払交付金等の補助を継続して実施するとともに、町単独事業として農業共済掛金の助成である、農業生産安定化 特別対策事業費補助、地力増進対策事業費補助、農道整備事業費補助などを継続し、農業経営の安定化を図ってまいります。

 先般、衆議院予算委員会において、「水田活用の直接支払交付金」の交付対象水田の要件、いわゆる「5年水張りの要件」を求めない考えが示されました。作物ごとの生産性向上等への支援へと転換するとのことで、内容は今後議論されていくことになりますが、農業経営に大きく関わる政策転換でありますので、多方面から情報収集を行うとともに、積極的に要請活動を行ってまいります。

 クマやエゾシカなどの鳥獣被害対策については、電気牧柵購入費への助成のほか、町が所有する電気牧柵の利用促進を図り、高齢化で減少が進むハンターの確保対策として狩猟免許取得・更新に対する支援を行います。また、「自らの農地は自ら守る」という自己防衛意識を高めていくことも必要と考えております。

(2)林業・林産業について

  豊かな自然環境の中にあって、町の約8割の面積を占める森林は、地球温暖化防止対策の推進をはじめ、安全な国土の形成、水源かん養、保健休養などの多面的機能を有しているほか、産業として貴重な資源であります。町有林管理については、除間伐、枝打ち、下刈りなどの適切な撫育管理や森林基盤整備等を推進し、森林機能の維持に努めます。民有林については、循環利用や集約化を進めた中で「豊かな森づくり推進事業」や除間伐、枝打ち、下刈り事業に支援し、地域林業の振興を図ってまいります。

 また、林産業については、林産協同組合の活動を支援するほか、地域材の積極的なPRに取り組み、地場産材の利活用の促進や、林業者はもとより林産業の安定経営に努めてまいります。さらに森林環境譲与税基金事業として、民有林の下刈りや除間伐事業に助成し、森林としての機能を維持できるよう支援を行います。

(3)商工業・観光業について

 商工業については、人口減少やインターネットを利用した商品購入が地元での消費減退を招いており、また、高齢化の進行とともに買物弱者の増大が懸念されているところです。このような実情から、引き続き商工団体の育成と中小企業の経営安定を継続支援するとともに、商工会と連携し、活性化への振興策を検討してまいります。

 観光については、オートキャンプ場「ハチャムの森」の運営改善や改修工事を行った「うずら温泉」の経営改善支援に努め、道の駅物産センターの改修計画も順次進めてまいります。また、「アウトキャンパス」や「ちょっと暮らし」事業の継続的な展開で、交流人口・関係人口の拡大を図るほか、素敵な過疎のまち推進事業により、厚沢部町の応援団員獲得拡大に努めてまいります。さらに観光協会の育成支援や各種イベントへの助成を拡充してまいります。

3.くらしの安全・安心なまちづくりについて

(1)健康診断受診率の向上について

 本町では、健康診断やがん検診の受診率が低いことから、がん等を早期に発見し重症化リスクを軽減することを目的に、受診率向上を促すため町が実施する総合健診や各個別検診を令和6年度から全て完全無償化としています。町民の皆様には是非、健診等を受けていただき、疾病の早期発見、早期治療により健康の維持・増進に繋げていただきたいと考えております。

(2)災害に強い町づくりについて

 災害に強い町づくりでは、費用と利便性、管理運用を考慮した防災情報配信システムの整備、町の災害 備蓄計画に基づく非常食や備品等の更新、購入を計画しています。

(3)再生可能エネルギーの導入促進について

 新エネルギーの導入促進につきましては、役場組織の体制を見直して、新たに脱炭素政策の専門係を新設し、地域新電力会社「ハチャム」とともに国の脱炭素先行地域事業を重点的に推し進める体制を整えます。

(4)国保病院について

 国保病院は、命を守り暮らしに安心感を与える地域医療の確保や救急医療の拠点として、町民からの期待も大きく、極めて重要な役割を担っております。しかし、その経営環境は益々厳しい状況にあり、地域連携法人「南檜山メディカルネットワーク」と連携を密にして、地域医療の安定提供体制を図ってまいります。

 過疎地では、医師及び医療技術員の不足が深刻化しておりますが、これからも良質な医療の提供、経営の改善などに一層努め、町民の期待に応えられる町立病院を目指してまいります。

 また、函館市との定住自立圏協定の主目的であったドクターヘリの運航、脳疾患患者の搬送経費も継続して支援し、広域的な緊急医療体制の充実に努めます。

4.健全な行財政運営について 

(1)予算の効率化・重点化による計画的な財政運営について

 予算の効率化・重点化による計画的な財政運営については、本町の財政は、これまでの行財政改革などによって、健全な財政運営を維持しておりますが、町税等の自主財源に乏しく、歳入の過半を占める地方交付税の行方次第では、極めて厳しい状況となります。限りある財源を最大限に生かす創意工夫と柔軟な発想をもって、事務事業を検証し、効率的な施策の展開と質の高い行政サービスを提供するため、職員一人ひとりの能力向上に努めます。

(2)情報公開による透明性の確保について

 情報公開による透明性の確保では、これまでどおり、厚沢部町情報公開条例に基づき、町政の透明性の確保に努めます。

教育行政について

 教育・文化活動の振興を図り、快適で活気ある「心豊かな人を育むまちづくり」を目指すことが、町政執行上での重要な課題であり、私は「まちづくりの究極は、人づくりにある」と思っております。少子化が進行する中で、これからの日本を支えていく「たくましい人材」を育成するためには、人間形成の基礎を培う学校教育の果たす役割は極めて大切です。

 子どもたちが、安全でより良い教育環境の中で学び育つために、学校施設や教育振興備品の整備を進めるとともに、学力の向上や健全な心と体を育成する教育施策の充実を図ってまいります。

 社会教育では、少子高齢化や高度情報化、経済のグローバル化など社会生活の変化に伴い、ライフスタイルや価値観が多様化しており、生涯を通じて、教育・文化・スポーツ活動などの様々な機会の提供が求め られております。このような高度で多様化するニーズに対応していくには、各種の情報提供を通じて、地域の自主的な活動を支援・促進することが重要であることから、町内関係団体とも協議を重ね、連携しながら社会教育環境の整備と施策の充実を図ってまいります。

 教育行政の詳細につきましては、教育長から方針が示されますが、教育委員会とともに学校や社会での 教育活動が望ましい環境の中で展開されるよう、計画的かつ積極的に教育文化活動の充実に努めてまいります。


 以上、私の町政執行に対する所信と施策の一端を申し上げました。

 町民の皆様の期待と信頼に応えるべく誠心誠意努力し、課題解決に向けて邁進する所存でありますので、議会並びに町民の皆様には、より一層のご理解とご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。